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"言葉"と"身体"を通して「私」を「他者」に伝え、「私」と「他者」を受け入れる。

自然に囲まれ、マインドフルな時間を過ごすのにぴったりな空間。一つ一つの言葉を、一つ一つの感覚を、一つ一つのつながりを大切にすることのできる時間だった。



はじまり

 ホームに降りると、いつもとは異なる空気を感じた。そして今日が初めてのワークショップに、改めてワクワク、楽しみな気持ちが込み上げた。


 いつも歩く道とは違い、緑が多く、蝉が鳴き、どこか懐かしいような気がした。そんな空気だから、GoogleMapは使うまいと標識と人を頼りに、浄智寺へと向かった。朝採りの新鮮な野菜が、トラックの前にひかれたござに並べられていて、少し寄り道をしたりした。澄んだ空気が緊張していた私の心にスーッと入ってきて、葉っぱの間から差し込む温かい光がその緊張を和らげてくれた。

 先生方にプログラムメンバー、どんな人たちと出会えるのか、どんなワークショップが行われるのか、どきどきしながら浄智寺へと入って行った。



"言葉”を通して「私」を「他者」に伝え、「私」と「他者」を受け入れる。

前半:スティーヴン先生のワークショップ


 自分と他者とのつながりを言葉を軸に感じるワークをおこなった。いくつか振り返りたい。


 名前とお手玉のキャッチボール

最初のワーク。名前を呼び合ってお手玉をなげるワークを行った。先生方も含め名前で呼び合うことで、距離感が縮まった気がした。みんなに会い再び高まっていた緊張も少しほぐれた。生徒と先生に2つに分けられることはなく、それぞれ個性的だった。年齢、性別、見た目、読んでほしい呼び方、投げ方、みんな違って、お手玉を通して、名前を呼び合って、つながっていることが面白く感じられた。名前を呼び合うだけでなく、ものを共有することで、より関わりを感じることができたように思う。


 “I see you.” ”I am here.”

お互いの目を見ながら、言葉を伝えた。たった3wordsだが、今日会えたことに感謝を込めて、できるだけ目をまっすぐ見て、1word ずつ大切に伝えた。目を見つめて伝えるのは少し恥ずかしさもあったが、相手から”I see you”と伝えられたときには、安心感を感じた。お互いに存在を認め合って、ありのままに受け止め、そして受け止められたと感じたのかもしれない。ただこの言葉を伝えただけて、自分のことも話していない、相手のこともほとんど知らないのに、言葉の力を改めて感じた。


 ”Who are you?”

ペアを作って、繰り返し質問し答えた。

最初の方は、「大学生です。」「〇〇を専攻しています。」「〇〇に住んでいます。」と答えていた。また相手の答え方によって自分の回答も変わったりした。何人目かの時、相手が「私は自然が好きだけど、実はあんまりその環境にいることができていないんだよね」という話をしてくれた。

相手はオープンに話してくれていると感じた。だから自分もそうしないとと。そこからはもう少し自分の奥にあるものについて話すことができた。この日のキーワードである”vulnerability”を感じた瞬間だった。


 他にはお寺の中で気づいたことや感じたことを共有した。自分の感じたことをそのままの形で母国語以外を用いて共有することの難しさを感じたが、皆ゆっくりと受け止めてくれたように感じた。さらには自分の物語を分かち合ってくれたメンバーもいた。物語を共有してくれたことで、信頼感を持つことができた。一方で、自分はまだその共有の仕方がすぐには思いつかなかった。自分を言葉で表現することの難しさに、振り返ってみて改めて気づく。ただ、相手と向き合い、そっと耳を傾け、「間」を共有することが、「私」を「相手」に伝え、「相手」、そして「私」をも受け止めることにつながっていると感じた。この積み重ねを大切にしていきたいと思う。




"身体"を通して「私」を「他者」に伝え、「私」と「他者」を受け入れる。

後半:小木戸先生のワークショップ


 前半に続きマインドフルな状態を心がけて、体の五感を全て使い「気」を感じた。自分自身、他者、そして自然や見えない存在たちと繋がる時間を過ごすことができた。目を瞑り、重力、そして自分の心に身を任せ、指先だけをたよりに動いた。自由に動き、自由に触れ、自由に感じることができ、その開放感は心地よかった。マインドフルでありながら、開放的であることにすこし不思議な感じがした。最初は「自然」を、次は「他者」を感じながら、指先に意識を向けた。身体を動かすことが好きだからか、前半のワークショップよりすんなりと入ることができた。


 「他者」と人差し指だけでつながる体験は、興味深かった。相手によって全く異なる、感触、力加減、動き。指先だけだったが、相手をとても知ることができた気がした。そして自分もそれに合わせていろんな動きをすることができ、繋がりながら踊る楽しさを感じた。


 最後は皆でcompassionate circle を作り、生まれたての赤ちゃんを守り育てていくように、円の中の一人を、身体を使って導くワークをした。その人を受け止めつつも、次につなげるように、旅立たせるように、導かなければならない。相手に安心感を与えつつ、旅立ちを後押しするにはどう導いたらいいか、考えながら、つながりを作ること意識した。



おわり

 浄智寺には、様々な種類の草木が生え、花の咲く自然豊かな庭があり、風情ある落ち着いた和室があった。幼少期、自然豊かな場所で育ち、和室が身近な環境にあった私にとって心落ち着く空間だった。先生方のワークショップに加え、この空間は、私に対して私自身がオープンであることを可能にしてくれた。マインドフルな状態でいるために素晴らしい環境だった。一方で、そんな環境でも長時間、気持ちを集中させることの難しさに気づいた。


 今回のワークショップでは”言葉”と”身体”を使って「私」を「他者」に伝え、「私」と「他者」を受けを受けとめた。その中で、「私」そして「他者」の”vulnerability”をありのままに受け入れオープンにすることで、その先に”authenticity”を知ることができるのではないかと感じた。ただ頭ではわかっていても、実践するのは難しい。ありのままの状態を自分に開くことで精一杯だった。「私」の”vulnerability”をありのままに受け止め、さらには相手にそれを伝えるには、どうしたらいいのだろうか。今回のワークショップを経験した今、私の中に生まれた問いである。


  次回のワークショップ、そしてStanfordでのワークショップを通して、この問いに対する答えを見つけていきたい。「私」と「他者」の”vulnerability ”を受け入れること、そしてこれを”authenticity”に繋げていきたい。未知との遭遇に対し少し不安を感じつつも、どう変わっていくのか、楽しみである。このような経験ができることに感謝しつつ、今回のレポートはここまでとする。


閲覧数:27回1件のコメント

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1 Comment


Guest
Nov 04, 2022

浄智寺への道すがらgoogle mapを使わなかった貴女へ


確かに目的地への最短で確実な道を示してくれるマップは大いに便利ですが、使わなかったおかげで、思いがけない出会いや発見があったのですね。これからの人生の長い道のりのなかでも、そうしたある意味で贅沢で豊かな時間は大切にして欲しいですね。


そして母語以外で、自分を相手に伝え、相手を受け取ること、それは他者と自分を受け止め受け入れるプロセスですが、思考だけでなく心的エネルギーと感性を使うことになるのでしょうが、その後の交流プログラムの振り返りを、日英で綴っておられるのは素晴らしいですね。


浄智寺の佇まいを思い出しながら4ヶ月も経ってからのコメントでした。

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